医療法人社団悠翔会は、自らを「かかわったすべての人を幸せに」するための人間集団であると定義しています。
治らない病気や障害とともに人生の最終段階を生きる患者さんやそのご家族の「安心できる生活」「納得できる人生」を支援するために、あらゆる患者ニーズに応え得る「最高のチーム在宅医療」を提供することが私たちの社会的責任であり、ビジョンでもあります。
その実現のために、わたしたちは「患者のニーズが最優先」という基本的哲学を共有しています。
チームが成長していくためには、まずは一人ひとりのメンバーが専門職として、そして人間として成長していくことが必要です。そのためには、それぞれが目標をしっかりと定め、その達成を支援できる体制が重要です。
医療法人社団悠翔会では、年に2回、関連会社を含めた全メンバー217人が集まります。
そして悠翔会というチームを構成する12のクリニック、10の部門が、それぞれの半期を振り返るとともに、今後の短期的・長期的目標とそのための計画を全員に提示します。
この全体ミーティングの最大の目的は、悠翔会という法人全体の大きな目標の再確認。
この法人全体の目標を実現するために、各クリニックは、各部門はどうあるべきか。それぞれの管理者が各々の短期的・長期的目標をわかりやすく言語化し、具体的な計画を提示します。
そして、それぞれに所属するメンバーたちは、自分たちのクリニックや部門が目標を達成するために、自らがどうあるべきかを考え、各自が成長目標を設定するのです。
各クリニック・各部門の管理者の責任は重大です。
それぞれのメンバーの目標設定を支援し、成長をリードできる力が求められます。
そして、そこがメンバーにとって、働き甲斐のある場、自己実現の場でなければなりません。
管理者たちのプレゼンテーションは個性があふれていました。
各チームの目標設定のプロセスも、強力なリーダーシップで設定されたもの、全員の丁寧な話し合いで決められたもの、客観的な情報分析に基づくものなどさまざま。しかし、いずれも所属メンバーに対する愛情に満ちていました。
それぞれのチームに最適なマネジメントのカタチが徐々にできてきているように感じました。
墨田クリニック開設準備室長による在宅医療の需給見通しの分析。
独自のデータ解析から、各クリニックの成長予測まで算出されていました。
金町クリニックの院長によるプレゼンテーション。
丁寧なマネジメントで院内のフラットな人間関係と確立されたライフワークバランス。結果として、メンバーの離職率が低く、地域との関係も非常に強固になっています。
その基礎にあるのは、リーダーからメンバーへの愛情。
全体ミーティングでは、各クリニック・各部門のプレゼンテーションに続きワークショップを行います。
今回は、所属や専門性、職位をごちゃまぜに20のテーブルに分かれ、「自分(の部門・専門性・職位)が周囲から期待されていると思っている役割」・「他の部門・専門性・職位に期待している役割」について意見交換してみました。
自分がこうあるべき、と思っていることと、周囲がこうあってほしい、と思っていることの乖離が可視化されるとともに、それぞれの役割が少し明確になったようです。これからワークショップで集まった3000枚の付箋を整理して、チーム内での役割分担の再定義をしてみたいと思います。
今回の全体ミーティングでは、悠翔会メンバーの行動規範(Code of Conduct 1.0)を改めて定義しました。私たちの基本理念やビジョンを実現するために、わたしたちがどうあるべきかを具体的な言葉で示したものです。
悠翔会行動規範1.0
ありがとう・嬉しいという感謝や喜びを伝えよう。過ちは素直に謝罪しよう。
挨拶、笑顔、礼儀、称賛、謝罪、いずれもお金も時間もかかりません。出し惜しみすることなく、表現しましょう。相互の信頼に基づく円滑な人間関係はすべての礎です。そして、それはちょっとした心くばりで作られます。また、知識や経験の不足は配慮で補うことができますが、配慮の不足は知識や経験では補うことはできません。
相手が喜ぶことを、自分の喜びにしよう。
人はみんな幸せになるために生きています。そして、私たちはかかわったすべての人を幸せにするために存在する人間の集団です。相手の幸せを真摯に考えよう。相手が喜び、それを自分たちが嬉しく感じることに積極的に取り組もう。そして、相手を傷つけない、相手に不利益を与えないことにプライドを持とう。
当たり前のことを、当たり前にやろう。
どんなに大きな成果も小さな努力の積み重ねです。
すべての仕事を一つ一つ丁寧に、細かいところも手を抜かず、誠実かつ確実に遂行していきましょう。個々の「当たり前」の役割は、状況に応じて変化していきます。常に自分が何をやるべきかを意識しましょう。
勝ち負けではなく、問題解決を目指そう。
人はそれぞれの価値観で事実を解釈し、それぞれの世界を生きています。お互いの解釈の正しさを主張し合っても問題は解決しません。
まず、相手の立場にたって、相手がその事実をどのように解釈しているのかに配慮しよう。
そして、推測や憶測ではなく、ひとつでも多くの事実を把握するように努力しよう。
身体ではなく、頭に汗をかこう。
勤勉とは、まじめに作業するということではなく、同じ労力、同じ時間で、どれだけ大きな価値が生み出せるかということに対する努力。怠惰とは、仕事しているかどうかではなく、それによって職務責任を果たせているかということに対する評価。ただいわれたことをやるのではなく、一人ひとりがそれぞれの頭で考え、よりよい未来のために行動できることが大切です。
考えたら、すぐに行動に移そう。
良いと思ったことは、すぐに実行しよう。どんなに素晴らしいアイデアも、実践に反映されなければ価値はありません。悪いと思ったことは、すぐに改善しよう。次から改善する、というのは、今は改善しない、と決断しているのと同じです。気がついたら、誰かに指示をされるのを待つのではなく、自分から行動を始めよう。
ルールを作る側に回ろう。
今の仕事のやり方に不条理さを感じるのなら、文句を言うのではなく、よりよい方法や仕組みを提案しよう。みんなにとって有益な仕組みは、チーム全体の成長に貢献します。
文句や愚痴はあなたに対する周囲の評価を下げますが、提案と実行は評価を高めます。
ポジティブに解釈し、ポジティブに行動しよう。
1つの事実には無数の側面があります。自分や相手の「できないこと・だめなところ」ではなく「できること・優れているところ」に注目しよう。ピンチをチャンスに、弱点を強みに、失敗を学びに。どんな状況においても未来に希望と喜びを見出そう。そして、できない理由を探すのではなく、どうすればできるかを考え、行動しよう。
時間の使い方をコントロールしよう。
時間はすべての人に平等に与えられた資源です。限られた時間をどう使うかが、私たちの人生の豊かさを左右します。時間に追われるのがいやなら、自分で時間を配分しよう。そのためには、目先の仕事に囚われるのではなく、まず全体を見て優先順位を意識しよう。そして、自分の大切なことにかける時間をつくろう。
自分の幸せを追求しよう。
自分は不幸だという人と一緒にいて、幸せな気持ちになったことはありますか?
まわりの人を幸せにするためには、まずは自分が幸せであることが大切です。そのためには、まずは自分の健康、家族の幸せをしっかりと守り、自分の仕事の意義を明確化し、自分の人生にポジティブな目的・目標・計画を持とう。
一人ひとりが成長し、それがチームの成長につながる。
その結果、地域に幸せが一つでも増えれば、きっと私たち自身も豊かになれるはずです。
そんな好循環を生み出せることを願って、よりよいチームづくりに取り組んでいきたいと思います。